“演奏人口増”の視点で語るNFT

“演奏人口増”の視点で語るNFT

知的財産権の話

例えば親族が亡くなった時、故人の好きだった曲を葬儀で流したら、著作権使用料を支払わなければならない。

運動会だろうが高齢者の集まりだろうが、予算が有ろうが無かろうが、音楽を使えばもれなく徴収される。

 

だって知的財産権は守られなければならないから。
さもなくば才能は滅び、音楽が文化ごと衰退してしまう。

 

2022年10月、最高裁で一応の決着を見せたJASRAC×音楽教室裁判では「著作権使用料、生徒の演奏に対しては免除するが、指導者の演奏は引き続き徴収対象」が判決の枢要だった。

おかげで全国の音楽教室の損益分岐点は少し下がったが、ビギナーの挫折事情はあまり変わっていない。

 

基本、音楽文化を育てたい筈の立場の方々は、日々その芽を摘みながら「私たちは作者と作品を守っている」と主張する。

 

仕組みに無理がある、と思いませんか。
有史以来これだったので違和感なし、ですか。
私はずっと違和感しかないです。

 

勝手に使うと喜ぶ?

JASRACやNEXTONEなど現行の知的財産権管理システムは「弱者だろうが何だろうが、音楽を使ったら何か支払え」が基本。

 

これに対し、NFTという道がある。
ザックリいえば「強者が一手に作品と作者を守るので、あとはみんな自由に音楽を楽しんでくれ」である。

 

まだまだ歴史の浅いNFTだが、実は絵画の仕組みと非常によく似ている。

例えばモナリザ。

世界中でポストカード、カレンダー、ジグソーパズルなど様々なものに勝手に使われているが、本物はパリのルーブル美術館にあり、それを世界中が知っている

 

もしもこれが前述の搾取型著作権管理システムだったら、所有者であるフランス国家が「あなた、絵葉書でモナリザ使いましたね?○○ドル徴収します」と言ってくる訳だ。

しかしモナリザは世界中で勝手に使われており、おかげで価値は上昇、近年の推定時価はおよそ8億ドル(日本円で約1,120億円)とも言われている。

 

どちらの仕組みのほうが芸術文化を育てるかは一目瞭然。
NFTの普及はMusic Loversを増やす力となる。

 

推し活」というケースも当然あるが、現状NFTは主に世界の投資家の資産対象として扱われている。
投資家がNFT作品(デジタルデータを基本とする絵画、楽曲、映像などの知的財産)を購入&所有することで、作者と作品は経済的に守られる

 

旧来の搾取型著作権管理システムとは違い、多くの人に(法律上の個人使用の範囲内で)勝手に作品が扱われば扱われるほど、前述のモナリザの原理で資産価値は上がるので、投資家もハッピー、我々弱者もハッピー、作者作品もハッピー、つまり間違った使い方さえしなければ誰も不幸にならないのである。

 

2年、前倒し

私にとっては、これこそがNFT普及に執着する理由。
楽器人口を増やす活動に長年取り組む者として、極めて重要なアクションと位置付けている。

 

このblogを日本語で読んでくださっている方々は、そんな私の取り組みをほぼ知らない筈。
なぜなら国際社会においてガラパゴス体質の我が国は”偏見の拡散”によって面倒な状況が起きやすく、あえて公での言及を避けてきたから。

日本では時期尚早、あと2年は海外のみで進める計画だった。

 

が、このたび古巣のバンド「叫ぶ詩人の会」が四半世紀ぶりに再始動する運びとなり、幸いデジタルコンテンツの青写真がメンバー間で一致したため、予定よりもだいぶ早め、意を決してMusic Lovers増のために挑むことにした。

…というのが、このblogを書くに至った大凡の経緯である。

 

新技術と我が国の事情

無闇なドローン規制で開発の機と市場を失い、技術力は有るも注力ミスで半導体シェアは奪われ、DX(デジタル変革)でも諸外国に先を越され、後手のAI規制で早くも生成AI後進国の仲間入り…といった幾多の失策と同様、得体の知れないものを無知や偏見で「悪しきもの」として隅に追いやったその数年後に「あ、出遅れた」となる我が国お得意の愚行街道を今のところNFTも順調に突き進んでいる。

 

我が国では一部NFTに対して一攫千金詐欺のイメージが一人歩きしている。
確かにそのような側面もあるので、とくに後者に関しては相応の注意を払わない人はそもそもやるべきではない

 

ただ、「NFT=詐欺だから近づかない」と言っているのだとしたら、これは非常に恥ずかしい

 

  • スパムメールが届くからメールはしない
  • フィッシング詐欺に遭うから金融機関に口座を持たない
  • 転んで死ぬかも知れないから外出しない
  • 雑菌が怖いから呼吸をしない

…と言っているに等しい。

 

NFTも同じ。
個人アカウントを正しく管理しなかったり、一攫千金に目が眩んだりすれば当然、詐欺の餌食にだってなり得る。

 

だから、なのか。

 

一部の成功例をメディアがまるでNFTの全貌のように扱うせいで胡散臭いものだと思われている節があるが、そもそもそういうものとしてデザインされていないことぐらい、正しく知ればすぐにわかる。

 

 

世界に目を向けろ

海外では才能や作品を守る仕組みとして何年も前から既に機能している。
ゴッホの時代にNFTがあったら、彼の人生は随分違った筈だ。

 

芸術分野に限った話ではない。

そもそもNFTが得意とするのは「唯一性を証明すること」なので、例えばチケットシステムにも採用され始めている。

そう遠くない将来、人類にとって欠かせない社会基盤の一端として、近年の電子マネー程度には日常に溶け込むことになるだろう。

 

無論、まだまだ多くの人にとって参入障壁の高いNFT。
理由は…

  • 外国為替リスク(円決済可能なマーケットプレイスも増え始めているので、為替差損が嫌なら国内取引に留めれば大丈夫)
  • 暗号通貨ベースの取引(カード決済対応のマーケットプレイスも増え始めているので間もなく解決)
  • ブロックチェーンのSDGs問題(懸念点であるCO2排出問題だが、そもそもSNS全般、毎秒大変なCO2を排出しているので、これはデジタルネットワーク全体の課題)
  • 言語の壁(基本は英語だが、日本企業の参入でハードルが下がってきており、間もなく解決)
  • ネットが苦手な人にとっては設定や操作が煩雑(扱いやすいプラットフォームも徐々に増えているので、少し先の将来に解決することを切に願う)
  • ガス代(NFTは特定の企業に支配されないため、TwitterやFacebook、YouTubeなどのように大資本がその途轍もない電力コストを負担する仕組みを持たず、取引の際に発生するガス代(=電力コスト)はユーザー負担となり、基本的には避けられない)

…といった具合。

 

コロナ禍直前の2020年1月、私はウクライナを訪れ、ある研究機関を視察した。

「NFTをより庶民の扱いやすいものに変える技術」を現地のチームが持っていて、NFT普及のゲームチェンジャーになると考えている。
1年後、隣国による侵攻でプロジェクトは台無しにされたが、Music Loversを爆増させ得るNFTの普及、この壮大な夢は誰にも侵せない。

 

 

国と国との架け橋

話はウクライナからメキシコへ飛ぶ。

 

コロナ禍、誤認逮捕で2年もの間、千葉と東京の拘置所に収監された、知る限り誰よりも心優しいメキシコ人がいる。

 

我が国の刑事事件は有罪率96.3%、対して無罪率はたったの0.2%、つまり司法統計上一度起訴されたら無罪判決を勝ち取るのはほぼ不可能

 

私と担当弁護士らとの執念のアシストで2年後、彼の冤罪は晴れ、涙の無罪判決と、2年の空白を埋めるに到底充分でない国家賠償を抱きしめ、母国へ飛び立った悲劇の男

 

言葉の通じない国で2年間も不当に収監されたことで少々の心的後遺症が残った彼に、お節介ながらNFTの可能性を提案したところ最近やっと始めたようなので、よければサイトを訪ねてみたり、気に入ったものがあれば買ってあげたりしていただけると「優しい日本人も案外いるんだな」と喜んでくれると思う。

“悲劇の男”のNFTアートギャラリー

[MoxArt_Galaxy Collection]

 

芸術文化の自然循環

弱者を救うこの素晴らしい仕組みを無知と偏見で潰してしまうのが、残念ながら我が国である。

文化もまた、時代に潰されかけている。

 

サブスクの普及により、音楽は聴く時代から聞き流す時代へと加速度的に変化、人類はまさに音楽史最大の転換点にいる。

楽曲売上は先細るばかり、演奏人口も減少、音楽と人との関係がますます希薄化する昨今、皆さんに文化衰退の危機感はあるだろうか。

 

私は20年以上演奏人口を増やす活動」に取り組んできた事情で、時代が今どこへ向かっているのかを現場の肌感覚で知っているつもりだが、人類最高の発明品のひとつである音楽の行く末を逆算すると、危機感しかない。

 

ピンとこない人は、近年のベストセラー書籍映画を早送りで観る人たち(光文社新書)辺りを読んでみるといい。

人の心を癒すエンタメの未来に、相応の危機感が芽生えると思う。

 

秀でた才能と作品が必要な形で守られ、また、淘汰されるべきものは自然に淘汰される、そんな当たり前のエコシステム実現への選択肢が、いま私たちの手の中にある。

 

人類にとって音楽がいつまでも大きな存在であり続けることを願い、筆を置きます。

 

パソコンですけど。

 

(ここから先は、上記を投稿したその5日後に追記したものになります)

 

質問が多数届いたので補足

 

本blog投稿後わずか1週間足らずで、NFTを理解する上で最大の難関とも言えるあるポイントについて質問と要望を多数いただいた。

あまり長いと最後まで読まれないだろうと思って割愛したが、抑えておくべきだったと気付かされたので、なるべく手短に補足する。

 

誰でも簡単に複製でき、簡単に拡散できる、実体のないデジタルデータごときに、なぜ何万円も払うのか。

これが皆さんの「ハテナ?」と同じであるならば、もう少しお付き合いいただきたい。

とくにここから先の内容を理解するには古い概念を一旦破壊する必要があり、どうしても削れない要素が多いので、もはや長いblogではなく短い書籍として接していただけたら幸いである。

 

関東にはSuicaやPASMO、関西はICOCAやPiTaPa、北海道だとKitaca、九州ではSUGOCAなど、全国には様々な交通系ICカードがある。

ここで質問を二つ。

 

そのカードに現金をチャージした時、カードの重さは変化した?

コンビニ支払いでそのカードを使った時、カードの重さは変化した?

 

実際、カードの状態は基本的には変わっていない

 

じゃ、何が変わったのか?

「あなたのカードは現在○○円の価値があり、今回の取引でその価値が○○円に変化した、ということを全国のすべての決済端末が一斉に認識した(あるいは認識できる状態になった)というのが、交通系ICカード取引における変化である。

 

では、ゴールド資産取引ではどうか。

経済がインフレに傾くと投資家が一斉に買いまくるゴールド、これを仮にあなたが100万円分、ネット証券で購入したとする。

それから何日待とうが、何年待とうが、黄金色に輝く延べ棒はあなたの家に届くことはない

投資家も同じく、ゴールドに何億ものお金をつぎ込んでも、1グラムたりとも手元には無い

 

手触りのないゴールドを買ったその瞬間、いったい何が変化した?

「あなたは時価○○ドル分のゴールドを確かに購入し、現在所有している、ということを世界中の証券取引に関わるすべての端末が一斉に認識した」、がその答えである。

 

ではいよいよ、 NFTの場合はどうだろう。

 

あなたが”悲劇の男”のデジタルアートで気に入ったものをひとつだけ、60ドルで購入したとする。

 

購入の際に使用したあなたのスマホが重くなった訳でもなく、そのデジタルアートが宅配される訳でもない。

それどころか、勝手に複製され、勝手にSNSで拡散され、私のようにblogに勝手に貼り付ける輩まで現れる始末。

 

60ドルも払ったんだぞ?私のほうこそ悲劇だ!」となるだろう。

 

では、NFTアートを購入した際、何が変化したのか。

「あなたはこのデジタルアートを60ドルで購入し、現在確かに唯一の”本物”を所有しています、と世界中のすべてのインターネット端末が一斉に認識した」、が正解。

 

交通系ICカードも、ゴールド資産も、NFTも、変化したのは世界中の端末側であり、「あなた」側ではない。

 

更にNFTの場合、NFT化の際に必ず「世界で唯一の”本物”であることを証明する」という最も重要な太鼓判(=ブロックチェーン)が押される。

 

たとえ作品が複製され、世界中に拡散されまくり、専門家でさえどれが本物なのか識別不能だとしても、「唯一の本物である」という絶対に消えない太鼓判が、世界中のインターネット端末に対してその唯一性を勝手に証明し続ける。

 

だから、どんなに複製され、拡散され、見知らぬ誰かに(法律上の個人使用の範囲内で勝手に使われても、痛くもかゆくもないのだ。

 

従来の「所有」と同じ感覚で捉えると、NFTは絶対に理解できない

その古い概念をぶっ壊さない限り、100冊のNFT関連書籍を読み漁っても「ハテナ?」は消えない

 

NFTを所有する、というのは「画像をスマホの中に保存し、いつもそれを見てニヤニヤしたり人に自慢したりすること」が本質ではなく(もちろん所有者の物なのでご自由に)、むしろ「あなたがそれを所有している、というその概念を所有すること」という言い方のほうが正しい。

 

モナリザの価値を左右するのは、絵画自体のコンディションやクオリティといった物理的な”状態”ではなく、「本物はルーブル美術館にあり、フランス国家が所有していて、それ以外の世界中にあるモナリザは全部偽物である、ということを世界中が認識している」というその状況なのだ。

 

だから、大勢の人々が勝手にコピーを使えば使うほど「モナリザってさ、みんな知ってるよね」となり、より本物の価値が上がる、という訳。

 

つまり絵画の価値は「世界中にどう認識されているか」その一点で決まる。

たとえ世界一の鑑定士でさえ識別不能な瓜二つのレプリカが現れても、本物以外に価値はない

 

ここまでが理解できれば「NFT?私はほぼほぼ理解してますけど、何か?」と公言できる時はかなり近い。

 

…実は、身近なお札や硬貨もこれと全く同じ理屈だ。

 

すべての日本人が「一万円札には価値がある」と認識しているから、一万円札には価値がある。

また、ボロボロの一万円札と、ピカピカの一万円札は、価値としてはまったく変わらない

 

試しに一万円札をM78星雲からやってきた宇宙人にプレゼントしてみるといい。

ありがとう、きれいな紙だね、一応いただいとく」ぐらいのことだろう。

 

仮に一万円札を10,000枚(=1億円)、銀色のアルミケース一杯に敷き詰め、チラッと見せたとしても「その箱すごくきれい、それちょうだい」と言って中身を押し返し、空っぽのアルミケースを抱えて踊り出すかもしれない。

一万円札には価値がある」と認識していない端末(=M78星雲からやってきた宇宙人)から見れば、一万円札はただのきれいな紙なのだ。

 

交通系ICカードも、すべての専用端末に認識されているからこそ、ただのプラスチック板ではない。

ゴールドも、世界中の証券端末に認識されているからこそ、資産として所有できている。

NFTもまた、世界中のインターネット端末に認識されているからこそ、仮にあなたのスマホが水没して二度と画像データが復元できなくとも「あなたが世界で唯一の本物を所有している人」という“状況”は変わらない。

 

極めて重要なポイントなので、もう一度だけ繰り返す。

従来の「所有」と同じ感覚で捉えると、NFTは絶対に理解できない

その古い概念をぶっ壊さない限り、100冊のNFT関連書籍を読み漁っても「ハテナ?」は消えない

 

我が国が世界に誇る才能の一人、故”坂本龍一”氏が晩年、代表作「戦場のメリークリスマス」の音符ひとつひとつをNFT化し、計595音符をバラバラに発売したニュースが世界で話題になったが、一体何が起きたのか、ほとんどの人は理解できていない

丁寧に説明するので諦めず最後までついて来て欲しい。

 

このblog内で2回ほど注釈した「法律上の個人使用の範囲内で」の一文を覚えているだろうか。

NFTの取引で購入者に渡るのは「所有権」であり、「著作権」ではない。

著作物(この場合は楽曲:戦場のメリークリスマス)を商業利用できるのは著作権者(この場合は坂本龍一氏)のみであり、それ以外はたとえNFT所有者であっても「個人使用の範囲を越える行為(著作物の複製販売で儲けるなど)」は法律で禁じられている。

坂本龍一氏がご存命だったら、これまでと何ら変わらずあの曲を自由に演奏でき、楽曲販売もこれまで通り継続できる、つまりNFTは基本的に従来のいわゆる“アーティスト活動”に差し支えない

 

ついでにもうひとつ、このblogの最初のほうで言及したこのくだりを覚えているだろうか。

JASRACやNEXTONEなど現行の知的財産権管理システムは「弱者だろうが何だろうが、音楽を使ったら何か支払え」が基本。

これに対し、NFTという道がある。
ザックリいえば「強者が一手に作品と作者を守るので、あとはみんな自由に音楽を楽しんでくれ」である。

勘の良い人なら既にお察しだと思う。

故・坂本龍一氏がNFTのアクションを通じて守りたかったのは「自分の財布」ではなく「後世の才能たちと音楽文化」なのだ。

晩年までエンタメのファーストペンギンであり続けた彼の恐るべし柔軟性と、批判を恐れぬ勇気と、音楽に対する大きな愛と、沢山の功績に心から敬意を贈るとともに、彼の遺志を継ぎ、引き続き音楽文化を守るその一端を担う覚悟である。

 

“NFT音符”についての説明、実はここからが本番である。

頭を柔らかくして、ついて来て欲しい。

 

1個の音符に「世界で唯一の本物」というNFTの太鼓判が押され、世界中のすべてのインターネット端末がそれを一斉に認識した途端、交通系ICカードやゴールドや一万円札と同じように一定の「価値」が宿る。

2021年12月、「戦場のメリークリスマス」の計595個のNFT音符たちの旅はここから始まった。

 

NFTは「いつ誰が誰からいくらで購入し、誰が所有中で、現在いくらで販売中」といった詳細情報(履歴も全て)が、世界中のユーザーから常に丸見えになるようデザインされている。

 

投資家が企業決算書業績推移を見て個別株への投資判断をするのと同じく、NFTの価値判断材料も常に世界中の誰もが監視できる状態にある。

 

資本主義社会では「この価値はまだまだ上がるぞ」と判断する人が一定数いると、モナリザの例に従い、その価値は基本的に上昇する。

 

投資家の仕事は「将来価値の上がるものをなるべく時価の低い時に購入すること」なので、そのNFT化された音符に「資産価値としての伸び代」があると判断すれば当然、高額でも購入をする。

あの紙切れがオークションで2億円で落札!」みたいなニュースをよく見かけるが、つまりそういうことだ。

 

NFTは、株や債権、ゴールド、不動産、石油、天然ガス等々と同じく「投資対象」として日々活発に取引されており、「可能性のある弱者」強者(=投資家)が支える資本主義経済の生態系の中で存在感を増している。

 

時価総額世界No.1の米国Apple社をはじめ、我が国が誇る世界のトヨタ自動車も、「自然と調和する心豊かな未来に」の花王も、マクドナルドやドミノピザも、Amazonや楽天も、ディズニーランドやユニバーサルスタジオも、ユニクロもZOZOTOWNも、映画もアニメも、渋滞情報も天気予報も、コンビニもファミレスも、あのコロナ禍を救ったワクチンでさえも…投資家の支え無しでは存在できていない

 

「デジタルネットワーク時代」とは価値や所有の概念がこの方向へ否が応でも進んでいく時代」という言い方に置き換えることもできる。

 

また、この概念を正しく理解できない人々が顔も見せずネット上で新しい時代の芽を叩き潰しにかかる、そういう残念な側面もまたデジタルネットワークの功罪である。

中には「手触りがなくて価値のあるモノを取引?私の人生には無縁だ」と言って噛みついてくる人もいる。

どう生きるも自由。あなたの人生。他人にとやかく言われる筋合いはない。まったくその通りである。

つまり、給料は封筒で現金手渡し、金融機関に口座を持たないのでキャッシュカードも無し、クレジットカードも当然無し、公共料金その他各種支払いはすべて毎回各窓口へ出向いて現金払い、ネットショッピングサブスクも当然しない、街で買い物をするたび「現金に相当するポイントが付きますが」と言われても全部ドブに捨てる…と、徹底的に自分を律することのできる人なのだと思う。

知らぬ間にNFTも既に我々の生活基盤を支え始めているので、飲み込まれぬよう引き続き頑張っていただきたい。

 

とくにNFTは「唯一性の証明」に長けているため、普及が進めば公文書の改ざん通貨偽造電子印鑑の悪用各種チケット偽造電子キーのハッキングも…どれもこれも不可能となる。

ネットバンキング、電子書籍、ニュース、スポーツ、教育、コミュニティ、ポイ活、婚活、求人転職、資格取得、交通、流通、農業、工業、フードデリバリー、ネット通販…………etc、我々の身の回りでNFTに関係し得るものをあげればキリがない。

 

そんな時代を今、我々は生きているのだ。

    

…以上、まったく手短では済まない補足となってしまったが、ご覧の通り既成概念をぶっ壊さなければ理解できない話なので大目に見ていただきたい。

 

このように新しい時代が世界では既に始まっている。

そこに日本というかつて世界をリードした一先進国が出遅れているという実情を知る一助となり得たのならば補足をした甲斐があるし、何より最後まで辛抱強くお付き合いいただいた皆さん自身の未来のためにも実りはある。

それでもまだよく理解できないという人はこのblogを何度でも読み返し、脳みそを世界標準へアップデートしていただきたい。

 

最後までお付き合いいただいた皆様に感謝し、今度こそ筆を置きます。パソコンですが。

 

※2023年7月26日(上の“補足”を追記した2日後)、「BrokenHeart(このblogに勝手に貼り付けているパンキッシュな心臓のデジタルアート)を今すぐ購入したいのだがエラーが出て手続きが完了できない」という問い合わせが、製作者でもありその時点での所有者でもある”悲劇の男“に直接入った。「システムの不具合かも知れないのでBro(=私)のネット端末で試してみて欲しい」とお願いされたため、手元のiPhoneでトライしたところ、その種のエラーが出るかと思いきや、何とすんなり購入が完了してしまった(正確には叫ぶ詩人の会のNFTギャラリーを通じて0.035ETHで個人的に購入したという状態。購入時の0.035ETHは日本円でおよそ9,000円)。すぐにその方にガス代をプラスした程度の額で転売して差し上げるべきだったのかもしれないが、考えてみるとこの作品は事実上”悲劇の男”のNFTデビュー作であり、あの凄まじい2年間を経て作品の意思で私の元へやってきたのではとさえ思え、申し訳ないが”悲劇の男”に「その方に諸事情を説明し、丁寧に謝っておいて欲しい」と伝え、とりあえず個人的に所有することにした。また「その方のために、できれば同系統のアートコレクションを近々に創作することも検討して欲しい」というリクエストも加えておいた。投資家が殺到でもしない限りBrokenHeartは手放さず非売品として大切に展示しておこうと思う。一連のドタバタを経た1枚のデジタルアート、興味のある人はぜひ鑑賞しにギャラリーを訪れてみて欲しい。勉強したばかりのNFTの世界が少しだけリアルに体感できる筈だ。

←取引成立直後、出品者にマーケットプレイス(Opensea)からこのようなメールが届く(この写真は今回”悲劇の男”が受信したもの)


この取引によって起きた変化:
MoxArt(メキシコの”悲劇の男”のNFTアカウント)が製作、所有、及び販売中だったNFTデジタルアートBrokenHeartは、販売者希望価格0.035ETH(時価およそ9,000円)でScreamingPoets(日本のバンド”叫ぶ詩人の会”のNFTアカウント)によって購入され、前者から後者へとその所有権が移り、且つ、後者はこの作品を販売(つまり転売)せずに所有したままの状態である、ということを世界中のすべてのインターネット端末が一斉に認識した
※ETHとは「イーサリアム(Etheream)」の略で、ビットコインと並んで世界で最も多くの人に利用されている暗号通貨のひとつ。世界最大のNFTマーケットプレイス「Opensea」では基本的にこのイーサリアムが取引通貨として採用されている。「ETH」を通貨単位として使用する場合は「イーサ」と読むのが一般的。

 

 

 

▼千年日記『X』
https://www.youtube.com/playlist?list=PLVreaow4-m-3SdoDRdDwopYvTApYh99ee

X

 

 

 

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