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ドイツの物理学者、ヴィルヘルム・コンラート・レントゲンによる、十九世紀最大の発見といわれるX線。

当時、それよりも前に発表したぞと主張する学者たちや、まぐれだと罵る教授たち、そんな専門家たちの先入観を鵜呑みにした一般の人たちがあちこちで騒ぎ立て、「X線でも裸が見えない透けない服」みたいなものを売り出して一儲けした輩も大勢出てきたとか。

おまけにレントゲン本人への「見えないものが見える何かを発見したとか言ってる心霊術師まがいの物理学者」といった悪評が、なんと専門分野にいる他の物理学者らから起こり、物理学界から永久に葬り去られる可能性まであったそう。

その頃SNSがあったら、一体どんなことになっていたのかな。

今では病院でも、空港の保安検査場でも、我々はX線でいろいろと守られているけれども、人類にとって未知のものとなると、どんなものでも大抵こんな調子だ。
 
「敵は先入観、たったそれだけ」。

まだ人類の知らないものが世に出る時、たぶん開発者たちはこのような想いを静かに胸の中でつぶやきながら、時代が追いついてくるのをじっと待っていたんじゃないかな、と、そんなふうに勝手に思った。

レントゲン博士は、X線の独占権を買いたいと言ってきた電力会社に「No!」と突き返した時以外、声を荒げて反論したりするようなことはなかったという。

彼が高校時代、友だちをかばったことが発端で退学になり、その後の物理学者としての人生に不利な状況を招いたという話を聞いたことがあるけども、レントゲンという人はきっと、何かを守るための自己犠牲を惜しまない人だったんじゃないかな。

実際、物理学者としての彼が守ろうとしたのは、先入観による悪評に晒された自分自身ではなく、これから百年千年、X線によって助けられるであろう世界中の人たちだ。

X線を発見したことだけでなく、彼がそれを守り抜いたことにこそ、あの第1回ノーベル物理学賞の価値はあると思う。
 
同じ土俵に乗るほどのものではないけど、僕もこの闘いを始めてから間もなく1年が経ちます。

大好きな音楽仕事を断ち必死に取り組んできたその先で得たのは、声のない罵声、まだまだ少ない理解者たち、大きな借金、そしてたぶん少しの強さ。

まだまだ時間がかかると思うけど、絶対に負けない。


 

Voice of the developer-Qactus開発者サイドの声-
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